今回紹介する短歌は、「空の旅の歌」をテーマにしています。
はじめにも書きましたが、わたしのつくった短歌ではありません。
わたしにはこのような素晴らしい短歌をつくる腕は、残念ながらまだないのです。
・レニエ越えシカゴへ向う祝日の眼下の雲に円き虹映ゆ
・どよめきは機内にみちて人は窓に雪にかがやくエベレスト見る
・・・第二次世界大戦という大きな犠牲のあとに訪れた平和と、旅客航空機のめざましい発達は、国と国との距離を大きく縮め、人々の視野を世界的なものにまで広めました。
そうした状況のもとにあって旅行者の足は、必然的に海外にまで伸ばされるようになりました。
今や諸外国への旅は、特別な階層の人のものではなく、金と時間さえあれば誰でも可能なものとなりつつあります。
旅行詠の中に海外旅行詠が多く見られるようになったことも、現代という時代の大きな特徴です。
ここにあげた二首は、ともに旅客機の窓から見た、つまりは空の旅の歌です。
一首目の作者は、アメリカ合衆国の広大な大陸の上を飛びながら、眼下の雲にかかった虻を見てうたっています。
地上から仰ぐ虹は「虻の橋」と呼ばれるように普通は半円型としてしか見えませんが、空から見る虻は美しい円型として見えます。
何かを記念する祝日の日の空にかかった外国の円い虹、それは平和の象徴のように輝いていたことでしょう。