2010年12月アーカイブ

宇宙時代にふさわしい巨視的な新しい旅の歌が、いま生まれはじめています。


しかし、そうした新しい時代に生きながら、人は時に日本人の心のふるさととも言える昔ながらの自然の姿や、古い都のおもかげに、かぎりない郷愁をおぼえることがあります。

・壮大な月刻々にのぼりいでさやけきひかりあすか路に満つ 


・大いなる礎石の凹の春のみつ塔の九輪が縮み揺れつつ 


・・・「旅行とは、異なった時代の人々と会話するようなものだ」とデカルトは言ったそうです。


「情報化時代」というより、「情報過多時代」と呼んだ方がよさそうな、マス・メディアの極度に発達した現代。


そのめまぐるしくかつ繁雑な日常の生活の場から脱け出して、この二つの歌の作者は、静かな古都のたたずまいの中に身を置いて、一種のカタルシスを味わっています。


一首目の歌にうたわれている月は、宇宙時代の科学的な目がとらえた月ではなく、万葉時代のそれを思わせるような、おおらかな明るい月です。


二首目の歌にうたわれている大きな礎石の凹にたまった水も、公害などに汚されることの全くなかった古代の水を思わせる清浄ないわば天の水です。

こんにちは。


ここで秀逸な短歌をいくつか紹介していますが、少し興味をもっていただけましたでしょうか。


ちなみにわたしのつくった作品ではありません。


さて、次の短歌は・・・


・生命あまた乗せたる地球も光りつつめぐる宇宙か星空見上ぐ 


・億光年星星ひかり乱射して風吹く地球を独り我ゆく 

海外旅行の普及によって、地球は以前にくらべて、感覚的にはひとまわりもふたまわりも小さくなりました。


そればかりか、アポロ計画などによる一連の宇宙開発の進行によって、私たちは自分たちの住む地球の全体的な姿を、テレビを通して、まるで月の姿をながめるように直接目にすることさえ出来るようになりました。


「それでも地球は回っている」とつぶやいたというガリレオ・ガリレイの話は有名ですね。


今の私たちには、地球も太陽系宇宙の中に浮かぶ一箇の星であることを、まのあたりにし、それを実感できるような機会が多くなってきました。


ここにあげた二首の歌は、そうした時代の歌らしく、まさに宇宙的視野から人生を、地球をうたっています。


私たちの人生が旅であるように、地球もまた宇宙の中をめぐる一個の旅行者である、といったような発想が、この二首にはひそんでいるようです。


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