道路は有力者の家の前を通るだけ、電気も金持ちの家にだけ、などという意見もあります。
しかし、道路は50キロ、100キロと続いているはずであり、その長い道筋に有力者の家が続いているのであれば途上国ではありません。
テレビのアンテナが村や町に林立していますが、これは、次第に庶民の家に電気が通りはじめ、テレビを楽しむ人が多くなっていることの証拠です。
援助による道路建設がなければ農業の多様化はなかったし、電気がなければ工業化も進展しなかったはずです。
農業の多様化も、工業化の進展も、固有の文化を破壊する役割を果たしたかもしれません。
しかしそうした前進が、いずれも援助とか開発政策による成果であり、タイの庶民にささやかながら生活水準の向上をもたらしたのではなかったでしょうか。
いかに寒くとも、氷は一挙にはできません。
周辺からゆっくりと凍結します。
開発も同じです。
格差を発生させながら、全体が底上げされます。
つまり過渡的には格差の拡大が生ずることは認めねばなりませんが、だからといって開発そのものまで否定していいのでしょうか。