こんにちは。
何を隠そうわたしの趣味は短歌づくりです。
ここではわたしのつくった歌ではありませんが、いくつか素晴らしい短歌を紹介していこうと思います。
今回のテーマは「海の旅の歌」です。
・兵多く我が死なしめし海域を生き恥さらしタンカーで航く
・年々に遠のく鮪を果てしなく追ひつつ日付変更線を越ゆ
・・・海を生業の場として働く者の船旅の歌です。
彼らもまた広い意味では「出稼ぎ人」ということになるでしょうか。
前者は、遠い纏の産油国へ石油を買い求めにゆくタンカー、つまり石油運送船の、乗組員の歌です。
この老いたる乗組員は、かつての太平洋戦争では海軍士官として、多くの水兵たちを死地におもむかしめたいまわしい過去を、のがれようもなく重く負った・・・そうした乗組員です。
その海域を通過する時、作者の眼前には、凄絶な海戦の日が、そうしてまた海の藻屑となってしまった若々しい兵士たちの在りし日のおもかげが、津波のように現われ襲ってくるのでしょう。
「生き恥さらしタンカーで航く」という発想の悲しさが、私たちの胸を強くうちます。
無謀でいまわしい戦争の傷痕が生み出した、これも現代の新しい旅の歌です。